ガールズちゃんねる
  • 10503. 匿名 2024/05/01(水) 23:50:16 

    >>8578
    🍉[あの雲が消えたら]
    4話

    歓迎会のことばかり考えていたからだろうか。盛大にミスをしてしまった。取引先へも迷惑を掛けてしまい、不死川さんが先方へ謝罪してくれた。
    「すみません……」
    「社内だけの事だったら全然どうにでもなるんですけど、今回のはお客さん絡んでるんでこれから気をつけてくださいね」
    不死川さんは真剣な眼差しでそう言った。いつも笑顔で「大丈夫っすよ!」と言ってくれる時とは違い、胸がずしんと重くなった。ちょっと浮かれすぎていたな、と反省する。気を引き締めなきゃ。こんなんじゃ、呆れられちゃうぞ。

    定時を15分位すぎて、今日やらなければならない作業が終わった。
    「それじゃあガル山さん、歓迎会の会場に向かいましょう!」
    「は、はい!」
    会社の外に出るとまだ空は明るかった。今日は雲が厚く、空気も湿っている。猫の形の雲も見つかりそうにはない。

    居酒屋に着くと、真ん中の席に座るように言われた。不死川さんは幹事をやってくれているので、入り口に近い席らしい。ちょっと、寂しさと、今日のミスへの申し訳なさとで、真ん中の席は居心地が悪い気がした。
    「それじゃあガル山さん、一緒に頑張りましょう!かんぱーーーい!!」皆が一斉にグラスを合わせる音が響いた。
    「ガル山さん、卵焼きもあるんで食べてくださいね!好きっすよね?」
    斜め向かい側から不死川さんが叫んだ。
    すると「さっすが指導係!好きな食べ物まで知ってるんだね」と隣のモブ田さんが返した。
    「ガル山さんのお弁当、卵焼きがいつもすげぇ美味そうなんですよ!」
    こうして気にかけて話題を振ってくれることがとても嬉しかった。かと言って騒ぐわけでもなく、他の人の話もよく聞いていて、不死川さんが仕事の出来る人として一目置かれている理由が分かる気がする。

    続く🌧️

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    -12

  • 10510. 匿名 2024/05/02(木) 00:00:12 

    >>10503
    ガル山さんにとっては今日のことは少し気が重かったかもしれないけど、仕事に対して責任感があって真面目な姿や席が離れていてもちゃんと気にかけてくれてちょっとしたことも覚えていてくれる🍉くんのスパダリっぷりにキュンです(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)

    +19

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  • 10518. 匿名 2024/05/02(木) 00:24:01 

    >>10503
    読んでます🍉

    +17

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  • 11254. 匿名 2024/05/03(金) 17:37:50 

    >>10503
    🍉[あの雲が消えたら]
    5話

    歓迎会も皆少しずつ席替えをしたりしていて、気付けば不死川さんが私の正面に座っていた。
    「ガル山さん、お酒飲んでます?何飲んでるんすか?」
    「あ、緑茶ハイです」
    「まじすか!意外ですね!」
    不死川さんはオレンジジュースを飲んでいると言う。あまりお酒が得意ではないらしい。
    「あの…今日は本当にすいませんでした。ミスしないように気をつけます!」
    「いやいや、ミスなんてしない方が無理ですよー!俺なんて入社したばっかの頃、もっとやばいことやらかしてたんで。また来週から挽回していけば何の問題もないですよ!て言っても、ガル山さん真面目だから気にしてるかもしれないですけど、うーん…まぁ、また雲の形でも語り合いましょう!」
    「ありがとうございます」
    何だか急に自分もオレンジジュースが飲みたくなって、注文した。

    そして翌週のお昼休み。私は不死川さんと外のベンチに並んで空を見上げていた。
    「まさかの快晴、雲ひとつないっすね!」
    「あはは〜、何だか残念です」
    「人生思い通りにいかないもんですねぇ」
    「それが人生ってものなのかもしれない」
    「おー!流石、人生の先輩」
    「不死川さんこそ、私は仕事では後輩なんで、敬語使わないでくださいよ」
    「いやー、緊張しちゃうなぁ、ガル山さん綺麗だし」
    「えっ!」
    「あっ」
    不死川さんの顔がみるみる赤くなった。

    続く☀️

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