ガールズちゃんねる
  • 119. 匿名 2024/04/01(月) 11:04:22 

    夏五月。穴穂部皇子は敏達天皇の皇后である炊屋姫皇后を姧そうとした。それで、強引に敏達天皇の殯宮に入ろうとしたが、寵臣三輪君逆は武装した舎人を招集して門を厳重に閉ざして入れなかった。

    穴穂部皇子は問うた。
    「誰がそこにいるのか」
    舎人は答えた。
    「三輪君逆がいます」
    そうして、七度「門を開け」と叫んだが遂に聞き入れなかった。

    穴穂部皇子は蘇我馬子大臣と物部守屋大連に謂った。
    「逆はたびたび無礼を働いた。殯庭で誄を申して上げて曰ったことには、『朝廷を荒らさずして、浄めお仕え申し上げること鏡の如くにして、私めは治平にお仕え申し上げます』と。まず、これが無礼だ。まさに今、天皇の子弟多く、両大臣も控えている。一体誰が思うままに一心にお仕えしたいと言えるのか。又、余が殯内を観ようとすると遮って聞き入れなかった。余自ら『門を開け』と言ったのに七度も応じなかった。願わくば斬り捨てたい」
    両大臣は同意した。

    是に穴穂部皇子は密かに天下の王となることを謀り、口実を設け逆君を殺そうとした。

    遂に物部守屋大連と兵を率いて磐余の池辺を囲んだ。逆君はこれを知り三諸の丘に隠れ、更にこの日の夜中に潜かに山から出て後宮に隠れたが、逆君と同姓の白堤、横山とが逆君の居場所を告げ口した。

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  • 121. 匿名 2024/04/01(月) 23:52:39 

    >>119
    穴穂部と守屋はなぜ「磐余の池辺を囲んだ」を囲んだのか?そこは用明がいるとこでしょ?ってケンケンガクガクしたことがあった。
    当初彼が隠れたとこは額田部皇女の後宮。普通に囲むなら捕まえたい人がいるところだろう。答えは出なかったけど、考えるも楽しい日々だった。

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  • 122. 匿名 2024/04/02(火) 11:56:44 

    >>119
    穴穂部皇子はすぐに物部守屋大連を遣った。
    「お前は往って、逆君とその二人の子を討て」
    大連は遂に軍を率いて出掛けた。

    蘇我馬子宿禰は他所でこの計を聞き、皇子の許へと参上したところ、皇子の家の門前に出逢った。大連の所に之こうとするのを馬子は諌めた。
    「王者は罪人を近づけません。自ら往ってはなりません」
    しかし、皇子は聴かなかった。

    馬子宿禰はすぐに磐余まで行き強く諫めた。皇子は思い止まり、胡床に腰掛け大連を待った。大連はかなり経ってから軍衆を引き連れやって来た。
    「逆らを斬って来ました」
    馬子宿禰は悲しみ歎いた。
    「天下の乱は遠くないだろう」
    大連はそれを聞いて答えた。
    「お前のような小臣の識ったことではない」

    此の三輪君逆は訳語田天皇の寵愛を受けていた。内外の事は全て委されていた。このため、炊屋姫皇后と馬子宿禰は俱に恨みを穴穂部皇子に抱いた。是年は太歳丙午であった。

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